災厄のてびき (MARBLE COMICS)
草間 さかえ
東京漫画社
2006-11

こんにちは。


災厄は、別に霊能者や拝み屋さんではなくても、祓って払い除けことは、努力次第で可能であるし、先天的に直感で祓いのけ方を覚えた人もいるだろう。


わたしは、わたしの実家に問題があって、そもそも、祖母が心配したとおり、わたしは強い感受性を持っていた。同様に、相手を素直に受け入れるお人よしだったので、なんにでも感応してしまって、なんでも持ってくることや、とかく、色々な災厄に見舞われることが多かった。

祖母は、わたしに対して、 特に厳しく当たり、よく伯母が、朋ちゃんはかわいそうだと言っていたが、それでも、祖母は、わたしに対して、色々な意味で厳しかった。


わたしの父は、災厄を良く持ち込まれて相談される人であり、母も災厄まみれになっている人の相談事を引き受けることが多かった。

二人して、色々な人の仲介役を勤めたり、ホント色々な揉め事に対して、あらゆる視点から引き受けることが多かった。その結果、わたし自身が、熱を出して寝込んでしまうこともあったり、意味深な電気帯電性質をスパークさせることもあり、親としては、係累への対応策のないまま、苦労したほうだとは思う。

今思えば、わたし自身が災厄と非常に相性が良かったのである。

災厄と「類友」だったのは、わたし自身であった。


父はある意味、凄く強い人だったので、人の災厄をもらわないようなブロックの仕方をそもそも心得ていた。

あのべたべたするスライムを、うまく、弾き飛ばすという技を心得ていた。同様にわたしの母もそんなところで、うまく弾き飛ばしている人であり、結果的に、わたしがそのべたべたするスライムを引き受けてしまい、親には、くどくどと、「お人よし過ぎるのは問題です」と、説教を食らうこととなった。

わたしは、あちこちで交通事故に出会い、現役の際の共通一次にさえ、その帰り道に、はねられてしまう始末である。

わたしの迂闊な面も考えたが、実は、その後、主人とめぐり合って、主人と結婚しても、しばらく轢かれ続けた。轢かれて、轢かれっ放しになって、学校や研究室に血まみれで出 かけたこともある。なので、わたしは、自分の自転車に乗ることや、歩いている何かが問題なんだろうと考えた。緊張感がほどけるのか、災厄を貰う事が多かったのか、災厄と似たような思考を持つからこそ、「重い」自分に、災厄が集まるのかとも考えた。

 

悩みを相談する人は、皆、それなりの災厄を持ち合わせている。何も全てが同じべたべたするスライムではない。

そのスライムをどうやって母親たちはやりくりしたのだろうと、今考えると、父も母も、決して、相談者に「同調」しないのである。

あくまで、彼らは、 自分の位置を決めて相手に対応していて、相手の立場に立って、相手の考え方を知ろうとはしなかったのである。相手を理解しないということは、ひとつのブ ロック方法である。分からないものは分からないので、憶測でものを考えると、微妙なシンクロナイズになってしまう、と、父は言っていた。


父は、わたしの苦しみに対しても、決して同調しなかった。理解はしていて、分かった上で、わたしがどんな目に遭ったとしても、生きてて良かったと言う人であった。もらい事故が多くて、そもそもありえない設定の事故が多かったので、父は、わたしに対して心配はしたが、あくまで、父の場所からの心配であっ て、わたしの立場や、わたしに完全に同調してなりきって考えるということはしなかった。


よく、巷にエンパスと言う人たちがいる。

彼らは、「同調が極めて上手で、他者との間に境界線がない」。ないが為に、苦労する面もあり、ないが為に、人に迷惑をかける面もある。リーディングが良 く出来るのであるが、問題は、彼らはその情報を自分にしまっておけないのである。何故かと言うと、相手に波長を合わせてしまい、その波長を読んでしまう。 街でとおりすがったひと、電車に乗り合わせた人、となりの部屋の人、なんでも拾ってしまう人たちがいて、こういう人が、災厄のべたべたスライムを多く受け 取ることが多い。

時々、死神を押し付けられて、それで大口の契約を取っているサラリーマンなどがいたり、時々、災厄を背負う代わりに、大きなお金とともに会社を辞め る人などもいる。それと同様に、何故か、マンションが建っていて、どこか一軒が、非常に問題がおきる場合がある。出入りが激しくて、そもそも、そのマン ションは快適な住環境なのだが、どうしても、その一室だけが、問題が多いこともある。

これも、やはり、なんというか、天然でべたべたスライムを弾き飛ばす人がいて、たまたま、その一室にそのマンション全員のべたべたスライムが集まってしまうという、真に不可思議な現象というのがある。


他には、町内で、そういう一軒があることもあるし、そういう一軒にならない為にどうしたらいいかと言う対策としては、なかなか有効な対策は見つから ない。確実に、どこかに、ハレがあれば、ケがあるのである。とても強い人がいれば、影にとても弱い人がいるのである。その弱い人でも、全てを受けている可能性もあれば、また、全てをその他の人に移して、何とか現状を維持している人も多い。

とにかく、みだりに他人に同調しないことが一番である。


自分の現状を確かめて、自分の現状のままに動くことが大事であり、他人の相談事に乗る機会が多い人は、出来る限り、「境界線を維持したまま」、 相談事に乗ることが大事だと思う。相手の身の上に立ってみてとはよく言うが、相手は、自由選択の末に、哀れな末期になったのである。それであれば、相手が 自由選択の基準を変える気がなければ、放っておけということとなる。

家の中でも、どこでも、強い人が知らずに弾き飛ばす災厄を貰いやすい人は、その自分を変える手段を持つこと、あと、住居でそういうスパイラルの住居に当たってしまった人は、幾ら防いでも今のところ、効果的なことはないなと思うことがある。


何でそうなるのか、何故ここなのかと言う理論の前に、べたべたスライムは、感受性が高くて、自分を持たない人に非常に集まりやすいので、気をつけよう。